人として

社中の恥をさらすような話なのだが、もの言わぬは腹ふくるる思いに耐えかねて書いてしまう。

* * * * * * * * * *
昨日、片付けをしているときに、Cグループ先輩弟子のYさんが茶入れを落として割ってしまうということがあった。
私は先に長板とタオルを持って階段を下りていた。上の方で物が落ちる音と同時にYさんの悲鳴が聞こえたので急いで長板を置いて戻ってみたら、階段の上から4段目くらいのところに茶入れが落ちていて抹茶が散らばっていた。Yさんの姿は無く、茶入れは仕覆のなかで、割れていた。
顔から血の気が引くのがわかった。
この場にいたくない!
これがそのときの正直な気持ちだった。
何も触らずにすぐに下におり、Aグループ所属の先輩に茶入れが割れてしまったことを伝える。でも先輩達が何かしようとする前に、Yさんはいつも2階で稽古をみてくださっているk先生に相談すると言って、割れた茶入れと抹茶だらけの仕覆をもって行ってしまった。
こうなると、みんな急によそよそしい態度になって、Yさんとk先生のそばに寄りつかない。私もその一人だ。なるべく関わり合いになりたくない、というのが正直な気持ちだった。

大先生に言う必要はない。代わりの物を買ってそっと入れておけばそれでいい。
これがk先生がYさんと相談して決めたことだった。
年長のk先生の判断に異議を唱えることなどだれもできない。
心情的半径1キロメートルくらい遠巻きに見ている先輩弟子の皆さん方全員からの、それでいいの?そんなことですまされることじゃないでしょう?大先生にちゃんとお詫びしなくていいの?という心の声を振り切って、Yさんは帰ってしまった。

帰りのバスでBグループ所属の先輩と一緒になった。もちろん話題は今日のその事件のことになる。
同じC班2階お稽古チームに属する仲間として、また、一緒に階段を下りてお道具を運んでいた人間として、何か言うべきだったのだろうか。でも、k先生の判断だし、Yさんは先輩だし、新参者の私は何も言えませんでした、と言うと、その先輩、「でも、人としてなら何か言えたのでは?」と仰った。
そうかもしれない。人として考えるなら、大切なお道具を壊してしまったことを隠すなんて許されることではないだろう。怒られるのを覚悟の上で、大先生に申し出てお詫びし、弁償する場合には、どのお店でどのような品物を求めればいいのか、きちんと指示を仰ぐべきだったのに違いない。
でも、毎回階段を使ってお道具を運ばなければいけないような場所でお稽古する私たちの、誰に起こってもおかしくない出来事だったからこそ、余計に怖くて私は何も言えなかったのだ。
その先輩は次回のお稽古でそれとなくYさんに声を掛けてみると仰った。
でも、もしかしたら、k先生はYさんをかばってYさんから直接大先生に言うのをやめさせて、ご自分が大先生に申し出られているかもしれない。
そう思いたい。きっとそうに違いない。


コメント

  1. より:

    SECRET: 0
    PASS:
    QLOOK ID
    読んでいるだけでも血の気が引いてしまいました
    いったいどうするのが一番いいのでしょうね
    代稽古の先生の判断は???な私ですが、お道具もお仲間も大切にしようとおもいました

  2. minaho より:

    SECRET: 0
    PASS:
    QLOOK ID
    6さま、コメントありがとうございます。
    こういうことが今まで一度も無かったわけではないと思うのです。
    そんなときどうしてきたのか、知りたいところです。
    次回のお稽古は2週先。こういう時に限って間が空くのがいいような悪いような。
    落ち着きません。。。