炉開きの主菓子として出す粟ぜんざいを手作りしようと決めて、10月中は毎週2回ほどのペースで小豆を炊いたり、粟やらきびやらもち米やらを様々な割合で煮たり蒸したり炊いたりして試作を繰り返しておりました。
結果、もち粟100%、北海道産小豆(新豆)、甘みには和三盆糖と水飴を使う、という結論になったわけですが、その経過を記録しておこうと思います。
粟の方は、もち粟ともちきびを楽天で購入し、
粟だけ
きびだけ
粟:きび=1:1
粟:もち米=5:1
粟:きび:もち米=1;1;1
など試してみました。が、初めて食べたもち粟のおいしさに、これは何も足さないのが一番なのでは?という思いから、もち粟オンリーで行くことに決定。
次の問題は粟の炊き方です。お稽古場に炊飯器があるので楽かなと思ったのですが、取説に、雑穀だけで炊くのはNG、と書いてあったので炊飯器は断念。なんでも小さな粒がパッキンや部品の間に入り込む可能性=故障を招く恐れがあるから、とか。(うちで炊いたときは大丈夫だったんだけど)
蒸し器は2時間蒸すと言う人もいて、お稽古場ではちょっと無理そう(9時半席入りに合わせると、何時に稽古場入りしないといけないのやら)。
最終的には一晩水につけて吸水させておいたものを鍋で煮てそのまま蒸らす、という行程に落ち着きました。
鍋での炊き方は以下の通り(人によっては水の量は等倍から3倍まで幅がありましたが、今回の粟ぜんざいには、1.5倍が一番よかったので1.5倍にしました。一晩吸水させているので、実質的には2倍だったのかも。)
1)もち粟100gは軽く洗って、一晩水につける。
2)水を切って鍋にうつし、お水150cc足して、中強火で煮る。沸騰するまで時々かきまぜる。
3)沸騰したら、火を弱めて蓋をし、10分〜12分煮る。焦げ付かないように注意。気になるようならときどき蓋を開けて底からかき混ぜても大丈夫。
4)時間になったら火を止め、蓋をしたまま15分蒸らせば完成。
※これで出来上がりは250gくらいになります。今回の粟ぜんざい一人分は、お椀の大きさなどから、炊いたもち粟30gに、あん50g としました。
で、粟ぜんざい。
粟ぜんざいのあんは、こしあん派と粒あん派がありますが、こしあんは私には無理なので、当然粒あんで勘弁してもらいます。
しかし、あんこの作り方は調べれば調べるほど色々なやり方があって、100人職人がいれば100通りの考え方、作り方があるのだということを知りました。渋切り一つ取っても、5回くらい行う人もいれば、一切渋切りはしないというお店もあり。炊き方も本当に様々。鍋に蓋をするかしないかもきっぱりと分かれます。
そして、道具(鍋)も大切です。だれもが厚手の鍋というので、我が家でも厚手の鍋で炊くのですが、豆に煮えムラが出来てしまうのが悩みのタネでした。
が、あんこラボというサイトで、坊主鍋の存在を知り、すぐに購入し使ってみたところ、悩みは見事に解決したのでした。
坊主鍋というのは、平たいところが一切無いまあるいお鍋です。あんまりかわいいので、いぐさで編んだ丸い輪っかの鍋敷きも探して買ってあげました。ていうか、それがないとテーブルに置けないんです、ころんころんしちゃって。
それにしても、坊主鍋は本当に優秀でした。火の通りが均一で、しかも早く煮える。小豆のほかにも、かぼちゃを煮てみたら、やっぱり同じで、感動ものでした。
さて、あんの方に話を戻して。
最初はふだん通り、家にあるきび砂糖や氷砂糖、グラニュ糖で作っていたのですが、ためしに富澤商店の和三盆糖を使ったら、今までのあんこと全然違って、何とも言えずおいしい!以降、砂糖は和三盆糖にすることにしました。(鍋が坊主鍋になったせいもあったかもだけど)
富澤商店の和三盆糖は和三盆100%ではなく砂糖も含まれていたので、次に、ばいこう堂の和三盆糖(原材料はさとうきびのみ。商品名は和三宝糖)を買ってつくってみましたが、ほとんど変わりなくおいしいあんこができました!ばいこう堂によると、和三盆糖を20〜100%入れるとおいしくなるとのことだったので2割以上和三盆ならOKなのかもしれません。だけど、今回はばいこう堂のにしました。
砂糖に加えて水飴を使うか使わないかも議論の分かれるところだと思います。
今回は人様にお出しするので、見た目も大事。私が作ってみた感じでは、水飴が入った方が照りがあっておいしそうに見えたので、今回は水飴を入れることにしました。
また、粟ぜんざいにしたときに、小豆が大納言小豆がいいのか、ふつうの小豆がいいのか、というのも最初はわかりませんでした。しかし、粟100%で粟ぜんざいにしてみると、今まで一番おいしいと信じていた大納言小豆のあんこがなんとなくぼやけたお味に感じたのです。パンチに欠けるというのでしょうか。普通の小豆で作ったあんこの方が、皮の渋みがほのかにあるせいか、粟の素朴な味とバランスがいいのでした。
ということで、小豆はちょうど新豆の季節になったので、富澤商店の新豆、北海道産小豆と相成りました。
そしてminahoのあんこの作り方最終版はこちら。
材料
小豆 200g
和三盆糖 150g(小豆の75%)
水飴 20g(小豆の10%)
※小豆の量が増えたら、この割合で和三盆糖も水飴も増やしていきます。
※小豆200gで作ると出来上がりは、600g弱
作り方
1)あずきを水で洗う。
2)鍋に水を良く切った小豆と水を入れて火にかける。沸騰するまでは強火でOK。
3)沸騰したら、鍋の湯の温度が60度以下になるくらいびっくり水を入れる。(結構たくさんいれないと60度以下にならない。こうすることで小豆がよりよく吸水するようになるらしい。)
4)再度沸騰させ、3〜5分煮たら、小豆をざるにあける。煮汁は捨てる。(渋切り)(煮汁を捨てずに飲むと体にいいという人もいます。ポリフェノールたっぷりだから?)
5)鍋を洗い、小豆を戻し、小豆の3センチほど上まで水を入れて火を付ける。沸騰するまで火は中火以上。
6)沸騰したら少し火を弱めるけれど中弱火程度。意外と最後まで火は思ったより強めで行きます。(蓋は、私はしません。)
7)小豆の表面がでてくるくらい水の量が減ってきたら、差し水をする。(差し湯でもいい)ときどき、アクをすくう。
8)小一時間煮て、指で軽くつぶせるくらいに豆が柔らかくなったら火を止め、ボウルにざるをのせて、小豆と煮汁を分ける。
9)小豆は鍋にもどす(鍋は洗わない)
10)煮汁は、晒しで漉す。晒しに水分が残るので熱いけど少し絞って、小豆の実の部分(こしあんの素みたいなの)だけを鍋に戻す。(煮汁は使わない)
11)小豆と漉した小豆(これを「呉」というらしい)に、和三盆糖を全部入れて、火を付ける。
12)中強火で、ゴムべらなどを使って、焦げないように鍋底からしっかり練る。
13)水飴も足して練り続ける。(沸騰するとあんが跳ねるので注意)
14)水分が減って好みの堅さになったら火を止め完成。
一晩おくと味がさらに馴染みます。
この作り方は、
■シェフごはん/和三盆あんこ(鎌田 雄志シェフのレシピ)https://chefgohan.gnavi.co.jp/detail/3481/
■ミシュランシェフが教える甘さひかえめ粟ぜんざい(石川県白山市の料亭、鈴おき二代目主人、鈴置善太氏のレシピ
https://youtu.be/FAuNVypgdYA?si=fBBUE5FG0FSXOily
の二つから、私がいいとこ取り(できること取り?)したものです。そのほかにも
■あんこラボ きほんのあんレシピ
https://ukishimania.net/how-to-make-tsubuan/
■「レシピのないレシピ」のレシピ ぜんざい
https://recipe.no-recipe.com/fuyu36/
■シェフごはん/小豆からたく白玉おぜんざい(羽深 知己シェフのレシピ)
https://chefgohan.gnavi.co.jp/detail/3046
■白ごはんドットコム/おいしい小豆の煮方/ぜんざいのレシピ
https://www.sirogohan.com/recipe/zenzai/
■あずきの煮方プロが教えます/あずきや安堂
https://youtu.be/9lzM4uikVR0?si=BqzP_oBzPcH3K1bt
など数えきれないくらい、あん関連、ぜんざい関連、小豆関連、雑穀関連のサイトを巡りました。知らないことが沢山あり、色々と勉強になりました。
今回の炉開きでは、あんこは前の日に作ってお稽古場の冷蔵庫に入れておき、当日朝、少しお水を足して鍋で温めました。粟はやはりお稽古場で前日から水につけておき、当日朝、炊きました。
鍋やボウル、ざるやへらなど、調理道具はお稽古場にはないので、自分のものを持ち込まねばなりません。一度で済むように、中娘が高校時代山岳部で使っていた山用リュック(すごく大きい!)に全部入れて背負って自転車に乗って運びました。こういうとき車があると便利なんだろうなー。
あんこ作りは楽しかったけど、道具を持ち込むのが大変だったので、来年作るかどうかは未定です。
というか、来年の炉開きは、お客側になりたい!(笑)
備忘録(今回本番分含めて準備、購入したもの)
小豆;富澤商店の小豆を中心に、なんだかんだ1.5キロくらい買ったかな。
粟:楽天のショップみのりで、もち粟100g 6袋、もちきび100g 2袋
富澤商店の和三盆糖250g 1袋
ばいこう堂の和三盆糖180g 3袋
坊主鍋 直径24センチ
鍋付き和せいろ 直径21センチ二段(今回は使用せず)