一人お出かけ:笹本恒子写真展・バルテュス展

昨日は、以前から興味を持っていた100歳の現役報道写真家笹本恒子写真展を見に行った。数年前まで横浜方面に行くには乗り換え乗り換えしていかなくちゃ行けなかったのだが、相互乗り入れのおかげで、急行に乗れば1時間ほどで横浜に着いてしまう。笹本恒子写真展は、日本大通り駅に隣接している日本新聞博物館で開催されていた。
朝9時の電車に乗って到着は10時20分。すでに故人となった小説家、平和活動家、政治家、歌手、プロレスラー、ボクサー、評論家、詩人、画家などなどたくさんの人の写真。戦前の報道写真の中には、東条英機夫人が主催したという日独伊三国同名婦人祝賀会の写真など、今見ると少しぞっとするような写真もある。だってこの写真に写ったご婦人方はなんとも誇らしげな顔をしているのだもの。昭和15年の写真。
時代が変わるとは残酷なことだ。
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さて、写真を一通り見終わったら、そのまままた急行に乗って自宅近くの最寄り駅まで帰れば楽なお出かけだったけれど、横浜駅から今度は上野に向かうことにした。東京都美術館でバルテュス展が開かれているのだ。
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息子のときだったか中娘のときだったか忘れたけれど、産休・育休で時間に余裕があったとき1年間ほど「和楽」という雑誌を購読していた。その雑誌に、ドローラ節子夫人が、着物のことや夫バルテュスとの生活を語る連載があった。当時はまだ今のようにお茶のお稽古したり着物着たりしていなかったけれど、もともと和が好きな私。当時からその連載がとても好きで、節子夫人を先に知って、次にバルテュスという画家を知ったというわけ。
そのバルテュスの回顧展が開かれるというので、これは行かなくちゃと思っていたのだった。
一人で自由に動ける時間は貴重だ。昨日はとっても暑かったけれど、横浜からJRに乗り換えて上野へ。上野は横浜と違ってわりあいと行き慣れているので、横浜のときとは違っていきなりリラックスして都美術館へ。
思ったほど混んでおらず、ゆっくり見ることができた。
いつもは借りないガイドも、節子夫人の語りもあるというので一も二もなく借りる。ナレーターが池田秀一だったので、いつかバルテュスのことを「坊やだからさ」って言いそうで、ちょっとドキドキしたけど、最後までそのセリフはなくて残念(笑)。
バルテュスが11歳のときに描いて、当時の母親の恋人リルケが本にして出版したという40枚の挿絵「MITSOU」が、とても良かった。その後の彼の作品を暗示するような、なんとも言えない作風。11歳にしてこれだからすごいわー。
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おみやげに図録を買って帰ったけれど、このMITSOUの復刻版も買えば良かったなぁ。上娘も行きたいって言っていたから、買ってきてもらおうかな。
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バルテュスお気に入りのポーズ。このポーズのバリエーションが繰り返し繰り返し描かれている。小道具の手鏡も。どういうこだわりなんでしょ。
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これ、トランプしているから本当はお互いが対面してなくちゃいけないんだけど、二人とも顔をこちら向けている。日本の歌舞伎の見得がヒントなんですって(池田秀一さんが教えてくれた)。そう聞いてみると、なんだかくすりと笑がこみ上げてくるようだった。浮世絵にインスピレーションを得て描いた作品も結構あるので、やっぱりこの人、日本が好きなんだなぁ。MITSOUも、実は「光」だし。
節子夫人と巡り会って本当に幸せなだったよね。